2012年9月4日
味の素KK独自配合素材「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」の
筋肉疲労に対する早期回復効果を確認
2012年9月15日(土)第67回日本体力医学会にて発表
 味の素株式会社(社長:伊藤雅俊 本社:東京都中央区)は、当社独自配合のアミノ酸素材である、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」の摂取が、筋タンパク質の合成を高めることを通して、運動後の筋肉疲労に対する早期回復効果を示すことを、当社における研究、および国立大学法人筑波大学大学院との共同研究により明らかにしました。これらの研究成果は、2012年9月14日から岐阜県で開催される第67回日本体力医学会にて発表される予定です。

【「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」について】
 「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」は、当社独自配合のアミノ酸素材で、分岐鎖アミノ酸(BCAA)の一種として知られるロイシンを高配合し、計9種類の必須アミノ酸を組み合わせた素材です。タンパク質の材料となる必須アミノ酸に加えて、その一つであるロイシンをさらに高配合することにより、より高い筋タンパク質合成能を実現することができます。
 運動やトレーニングを実施すると筋肉が損傷し、筋力パフォーマンスの低下といった筋肉疲労を生じるようになります。世界で限界に挑むトップアスリートは、「日々の過酷な練習・トレーニングによる疲労やだるさが残り、その結果、運動機能の低下をきたす」などの課題を抱えています。今回、こうした課題に対して、同素材の筋タンパク質合成促進作用による筋肉損傷の修復を通して、筋肉疲労の早期回復が可能になるという成果を得ました。
 当社は、同素材を、今年8月12日に閉幕したロンドンオリンピック日本代表選手団を支援する活動の一環として、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)に独占供給しました。

【今回の研究内容】
 今回の研究では、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」の、運動による筋肉疲労に対する回復効果を検討することを目的として、動物およびヒトにおける評価試験を実施しました。
1.動物投与試験
 ラットに伸張性収縮※1し、その30分前、および1時間後に「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」を1g/体重kg、もしくは対照群として水を投与しました。筋肉痛は圧痛計を用い、痛みに反応した際の荷重を圧痛閾値※2として測定しました。
 その結果、伸張性収縮を負荷した翌日において、対照群では圧痛閾値の低下(筋肉痛レベルの上昇)が明らかでしたが、同混合物摂取群では、閾値の低下が明らかに抑えられていました。これらの結果より、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」は、伸張性運動後の筋肉痛の軽減に有用であると考えられました。
 

2.ヒト摂取試験(筑波大学大学院との共同研究):
 男子学生10名に、アームカール運動※3による負荷をかけ、その運動当日から7日後まで、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」またはプラセボ※4を1日3回、1回あたり3.6g摂取させ、運動前、運動直後、運動の翌日以降7日後までの期間に、疲労感と筋肉痛(視覚的評価スケール※5による主観的評価法)、および筋肉損傷(血中指標による客観的評価法)の程度を調べました。
 その結果、疲労感および筋肉痛は、同混合物摂取群では対照群に比べて軽度に推移しました。また同混合物摂取群では、筋肉損傷に伴って増加する血中のクレアチンキナーゼ※6やミオグロビン※7の濃度も、対照群に比して抑制することが認められました。
 以上の結果より、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」の摂取は、運動による筋肉損傷を回復するとともに、筋肉疲労の回復を促進すると考えられます。
 

 当社は、今回得られた、「ロイシン高配合必須アミノ酸混合物」の筋タンパク質合成を高めることによる筋肉疲労の早期回復効果に着目し、今後、同素材をスポーツ領域のみならず、様々な生活シーンにおいて、幅広い人々のより健康的な毎日に貢献できるよう、研究を継続していきます。


 

※1   伸張性収縮:
筋肉が収縮する方向とは逆に引き伸ばされながら力を出す動きのことで、筋肉痛の主な原因となる。
エキセントリック収縮ともいう。
 
※2   圧痛閾値:
筋肉の損傷部位におもりを押し付け、痛いと感じた時の重量を測定。数値が高いほど痛みの程度が低いと考えられる。
 
※3   アームカール運動:
手にダンベルなどを持って肘を曲げ伸ばしする運動。上腕二頭筋(いわゆる腕の「力こぶ」にあたる筋肉)等の筋肉に負荷がかかる。
 
※4   プラセボ:
擬似薬のこと。見た目や味などは効果物と同じであるが、効果を示す成分が全く入っていない。
 
※5   視覚的評価スケール:
VAS(Visual Analog Scale)ともいう。被験者に10cmの直線を示し、左端を「痛み(または疲れ)をまったく感じない最良の感覚」とし、右端を「何もできないほど痛み(疲れ)のある最悪の感覚」として、今ある状態が直線状のどこの位置にあるのかを示す方法。
 
※6   クレアチンキナーゼ:
筋肉が収縮する時のエネルギー代謝に関わっている酵素で、筋肉が損傷を受けると筋細胞から血液中に流入するため、血中濃度が上昇する。
 
※7   ミオグロビン:
血液により運ばれてきた酸素を筋肉中に運搬・貯蔵するタンパク質で、クレアチンキナーゼと同様、筋肉が損傷を受けると筋細胞から血液中に流入するため、血中濃度が上昇する。


■第67回日本体力医学会での研究発表

  1.   ラット伸張性運動モデルにおけるロイシン高配合必須アミノ酸混合物の筋肉痛軽減効果
加藤弘之 三村昌子 杉田麻友 井上佳子 鈴木克也 小林久峰
(味の素株式会社 イノベーション研究所)
 
  2.   健康男性における運動後の筋疲労に対するロイシン高配合必須アミノ酸混合物の効果
松井康 高柳尚司 大平琢哉 宮川俊平
筑波大学大学院 味の素株式会社)

報道関係の方向けお問い合わせ先:pr_info@ajinomoto.com
 
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