シン・チャンジェさんの「ジャンチ(お祝い)クッス」
結婚10年目を迎えたシン・チャンジェさん(37歳)は、肉が嫌いな夫と肉が大好きな10歳の息子、6歳の娘を持つ1男1女のお母さんです。
ほとんどの韓国の主婦がそうであるように、シン・チャンジェさんも結婚前は、特にこれといった料理は作れませんでした。料理上手な母親と姉たちがいたおかげであまり料理をする機会がなく、ご飯を炊くことから汁もの、常備菜などの基本の料理は結婚してからあわてて習い始めたそうです。
新婚時代の彼女の悩みは、料理上手な夫のこと。地方出身のご主人は、ソウルで長い間自炊生活をしてきたため、並みの主婦以上の料理の腕を持っていたのです。おまけにご主人はジュージューと焼くだけの簡単な肉料理には見向きもせず、大豆や豆腐、クッスなど、いわゆる淡白な食べものを好みました。したがって、彼女の料理の大半は、ご主人から伝授されたものと言っても過言ではないでしょう。そのおかげで結婚10年目に至る今では、味にうるさい夫と子どもたちの世話をしながら、てきぱきとあらゆる料理を上手に作れる主婦になったそうです。
肉さえあればご飯を軽く一膳平らげてしまう肉好きの息子と、肉のおかずには箸もつけない夫が好む共通の料理といえば「クッス」。特に夫は麺が大好きなので、夫の口に合うような数々のクッスを作ってきたそうです。中でも一番よく作るのが「ジャンチ(お祝い)クッス」です。
通常は熱いスープで作るジャンチクッスですが、暑いときはあらかじめ冷蔵庫で冷やしておいたスープに氷を浮かせ、冷たくして作るそうです。ジャンチクッスは家庭によって、スープのとり方や薬味、入れる具が異なります。
シン・チャンジェさんは質の良い煮干しを選び、少しだけたらの干ものを加えてだしをとるようにしています。たらの干ものを加えると、キレのよいさっぱりした味になるからだそうです。
“具には普通、薄焼き卵をせん切りにしたもの、炒めた肉、ズッキーニのナムル、焼きのり、味付けしたヤンニョム・キムチなどを入れますが、うちではごま油であえたヤンニョム・キムチと、炒めたかまぼこ、ズッキーニのナムルだけを入れます。けれども本当は、よく漬かったキムチともみのりをかけただけでもとてもおいしいのですよ。”
このほかにもシン・チャンジェさんがよく作る麺類は、日本式の「てんぷらうどん」、「メミルクッス」、「ビビンクッス」などですが、ひと月にクッスを食べる回数は平均15回といいますから、家族がどれだけ麺類が好きなのかがよくわかります。
“以前はクッスを食べると長生きすると言われましたが、最近はクッスばかり食べていると栄養が偏るような気がして、回数を少し減らそうとしているところです。子供たちも夫も喜んでくれる、クッスに替わる料理を早く探さなくてはなりませんね。”
今は子供たちもご主人の大好きな豆腐をよく食べるようになり、ご主人も少しは肉を食べるようになったので、シン・チャンジェさんの新しいメニュー探しは、さほど困難ではないでしょう。
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