開発お客様に喜んでいただける製品を目指して
製品の設計・開発

味の素グループは、世界中のお客様の嗜好性や生活スタイル、栄養や健康などに関する様々な調査結果をもとに、独自の技術を駆使し、各国のニーズに合わせた製品の開発に努めています。また、お客様がより使いやすく、環境にも配慮したパッケージにするために、包材の開発にも取り組んでいます。

品質アセスメント基準

味の素グループでは、お客様に安全で高品質な製品をお届けするために、味の素品質保証システム「ASQUA(アスカ)」で定めた「品質アセスメント基準」に従い、製品開発の段階ごとに計4回の品質アセスメントを設定し、厳しく評価しています。この品質アセスメントを全てクリアした製品がお客様のお手元に届く仕組みになっています。

品質アセスメントI

【メンバー】製品企画部門
新製品の探索段階のアセスメントです。企画する新製品が本当に開発できるかを評価します。新しいジャンルの製品の場合は、他社の特許に抵触していないか、などをチェックします。

品質アセスメントⅠ

品質アセスメント会議の様子

品質アセスメントII

【メンバー】製品企画部門/製品開発部門
試作段階のアセスメントです。使用する原料や配合などを検討し、完成した試作品が、目標の製品コンセプトと合致しているか、などを評価します。また、新しい原料を使用する場合は安全性をチェックします。

品質アセスメントIII

【メンバー】製品企画部門/製品開発部門/生産部門/消費者部門
新製品などの開発段階(中規模スケール)のアセスメントです。配合、製造工程、包装材料、製品表示などの検討結果に問題点はないかを、複数にわたる部門担当者が、チェックリストをもとに評価します。問題点がある場合は、品質アセスメントIVまでに解決します。
その後、工場アセスメントとして、工場での本格生産に向けて、詳細な製造条件などを開発部門と生産部門が確認しあいます。

工場アセスメント

工場アセスメント会議の様子

品質アセスメントIV

【メンバー】製品企画部門/製品開発部門/生産部門/消費者部門
新製品などの工業化段階(大規模スケール)のアセスメントで、発売に向けた最終関門となります。
原料、製造工程、製品、包装材料、製品表示について、安全性、遵法性、社会性、品質管理対応、環境対応の視点から、複数にわたる部門担当者が、チェックリストをもとに評価します。問題点がすべて解決されなければ、製品は発売できないしくみになっています。

事業戦略・製品コンセプトの策定

お客様に喜んでいただける製品を開発するために、グループインタビューやアンケート調査等を行って市場の隠れたニーズを探ります。新製品の方向性を絞り込んだ後は、仮説と検証を繰り返し、製品コンセプトを具体化していきます。 

市場ニーズの探索から始まる事業戦略の立案

製品やコンセプトを具体的に固めるのに先立ち、あらたに立ち上げる企画に事業としての可能性があるか、市場ニーズがどれ位あるかなどを調査・検討し、精査します。また、企業として目指している方向性に合致しているかといった検証も行います。論拠と結論をとりまとめ、確かな評価を得た企画だけを、次のステップへ進めています。

市場ニーズの探索から始まる事業戦略の立案

事業戦略をチームで立案する

調査から新製品の方向性を検討し、製品コンセプトの作成を実施

事業領域を設定するため、何点かに絞った新製品に関する仮説の検証を目的として、グループインタビューやアンケート調査を実施しています。これらの結果に基づき、仮説が確かなものであるか、製品コンセプトはお客様の期待にこたえているか、どのような市場に投入するかなど、お客様にとっての製品の位置付けを検討しています。
方向性を絞り込んだ後は、仮説と検証を繰り返し、製品をあらわした表現 “製品コンセプト”をシンプルにまとめます。さらに、そのブラッシュアップと、製品の具現化を並行して行っていきます。

調査を実施し新製品の方向性を検討

お客様に受け入れられるような製品コンセプトの作成

繰り返し会議をしながら、製品を具現化する

発売後も改良の繰り返し

製品企画は、製品を市場に出して終わりではありません。実際に製品を買ってくださったお客様のご意見や、市場の変化にあわせて改良を行うことの繰り返しであり、終わりのないものです。製品企画の担当者は、どのくらいの品質であればお客様にご満足いただけるかという基準をつくり、実際の製品がそれにかなっているかどうかを繰り返し判断しています。

発売後も改良の繰り返し

お客様の声を聞くオペレーター

包材の開発(「味の素KK中華あじ」、「丸鶏がらスープ」の場合)

お客様に製品をお買い上げいただいてからリサイクルまで、トータルな視点で容器の開発をしています。
さらに、お客様からのご意見を活かして、積極的に改善を行っています。

「キッチンバリューチェーン®」に基づいた、お客様視点での包材開発

製品を包むための重要な材料を「包材(ほうざい)」と呼んでいます。包材開発にあたって、私たちは「キッチンバリューチェーン®」という独自の考え方を採用しています。お客様がお店で製品を買ってくださった後、製品は台所、食卓、地球(リサイクル)へとまわっていきます。それぞれのシーンでの使われ方を検証し、より快適に、そして地球環境に負担をかけない包材にしたいと考えています。

「キッチンバリューチェーン®」に基づいた、お客様視点での包材設計

キッチンバリューチェーンの概要と包材開発

実際の「キッチンバリューチェーン®」の例

「キッチンバリューチェーン®」のサイクルにおいて、「中華あじ」「丸鶏がらスープ」については以下のような取り組みを行っています。
店頭で目の不自由な方にも製品を判別いただけるようキャップの上面に「中華あじ」には「ちゅーかあじ」、「丸鶏がらスープ」には「とりがら」と点字で表示を入れました。
また、台所でお使いいただく際には「中華あじ」「丸鶏がらスープ」について、「使っているうちに中身が固まる」「「中華あじ」の振り出し口に顆粒がついて、蓋がしまらなくなる」などの声をいただいていました。そこで、原因となる湿気を防ぐためにキャップの改訂を実施。「中華あじ」も「丸鶏がらスープ」も一振りで適量が出る1つの振り出し口にし、遊び心から顔のようなデザイン(通称“ニコニコキャップ” )にしました。また、「丸鶏がらスープ」は、“ニコニコキャップ”に変更するだけではなく、溶けやすさや味はそのままで、吸湿しにくい中身に改善したことで、お客様からご不満の声をいただくことはほとんどなくなりました。

点字表示の例

容器構造の改善で湿気にくいキャップに1

キャップの改訂

容器構造の改善で湿気にくいキャップに2

リサイクルへの配慮

「キッチンバリューチェーン®」のサイクルの最後は、リサイクルへの配慮として【地球】というキーワードをあげています。
使い終わった製品をゴミとして廃棄する場合、自治体のルールによっては、瓶から紙ラベルをはがす必要があります。従来品での「はがしにくい」とのお客様の声から、接着剤に改良を加え、はがれてはいけないときはしっかりと付き、リサイクルの際にははがれやすい接着剤を選定しました。加えて、地球環境に負担をかけないよう、瓶も軽くしました。

環境に配慮し、ラベルのはがしやすさを追求

スムーズにはがせるようになったラベル。冷蔵庫の中からコンロの近くに移動して使うことも想定し、温度差テストも実施している。

調理方法の決定(Cook Do®の場合)

プロが作る料理と家庭で作る料理の間には、差があります。
両者の差を徹底的に分析し、その差を埋め、ご家庭でおいしく作れる調理方法を考えます。

プロとご家庭、調理方法の違いとは

中華のプロとご家庭での調理の大きな違いは「道具」にあります。プロは中華なべを使いますが、ご家庭では電化キッチンの普及の影響もあり、テフロン加工のフライパンを使うケースが増えています。また、火力も大きく異なります。
プロとご家庭の差を埋めるため、まずプロが使う中華なべの中で、どのような変化が起きているのかを科学的に分析することから始めました。実験では中華のプロに温度計付きの中華なべで調理してもらい、点火直後からの中華なべの上昇温度と時間、素材を入れるタイミングなどを細かく計測し、中華なべのどの部分を使って何度の温度で炒めているのか、プロが何気なく行っている動作も見逃さずに記録します。

プロとご家庭、調理方法の違いとは

一般の主婦の方に、普段の作り方で「Cook Do®」を調理してもらい、作り方を観察する。この調査で、弱い火力で長い時間、素材を炒めてしまう傾向がわかった。

プロがあやつる温度と時間、動作などを科学的に分析

シェフの調理を解析している様子。実験のポイントは温度と時間。サーモグラフィーで中華なべの表面の温度変化や素材を炒めるタイミングなどを計測する。

パッケージ裏面の「作り方」は、ご家庭でプロの味を再現するための基本

お客様が作るときの素材の切りかた、火加減、調味料を入れるときの素材の状態などとプロの調理方法の分析結果を照らしあわせます。そこから家庭の道具でもプロのように作れる調理の方法や順番を組み合わせて、パッケージ裏面の「作り方」に反映します。
この「作り方」は随時見直しています。たとえば「Cook Do®」回鍋肉(ホイコーロウ)用の場合、以前は肉とキャベツを炒めてから調味料を入れていましたが、現在はキャベツを炒めて一度取り出し、肉と調味料を炒めて最後にキャベツをなべに戻す方法に変えています。また、さらにおいしくなるコツとして、キャベツの半量ずつ炒める方法も記載しました。

「Cook Do®」回鍋肉(ホイコーロウ)用の作り方

「Cook Do®」回鍋肉(ホイコーロウ)用の作り方

 関連コンテンツ:味の素グループの研究開発サイト
 関連コンテンツ:世界の商品紹介サイト

技術開発(コク味物質「グルタミルバリルグリシン」の場合)

味の素社が突き止めた「コク味」物質「グルタミルバリルグリシン」は、アミノ酸のグルタミン酸、バリン、グリシンが結合したトリペプチドで、帆立貝や魚醤などに含まれている物質です。2014年8月に厚生労働省の食品添加物認可を取得しました。
「グルタミルバリルグリシン」は、微量で、肉使用製品、乳製品、油脂使用食品の「コク」を向上させ、これら製品の品質改善につながります。また、健康志向に対応する減脂肪食品などの“おいしさ”向上に有効と分かっています。
詳細は、コク味物質「グルタミルバリルグリシン」の技術開発をご覧ください。