そのジャントクデはカンジャン(しょうゆ)、テンジャン(大豆みそ)、コチュジャン(唐辛子みそ)などを保管する清潔な場所のことで、主にキッチンの片隅か裏庭にありました。日が昇ったらジャントク(醤の器)の蓋を開け、日が暮れるとすぐに蓋をする...というように、まごころをこめて手をかけなければならない場所だったのです。途中、雨でも降ったら真っ先にジャントクの蓋をすることが主婦の大事な役目でした。毎日これほどの手間をかけたわけは、醤は発酵と熟成の過程を経てできる食品で、同じ材料、同じ作り方でも微妙な味の違いが生まれ、保存の仕方によっても味が大きく変わってしまうからなのです。
韓国の醤(ジャン)は中国からやってきました。大豆の原産地である中国東北地方で約3千年前にしょうゆとみそが作られ、それが伝わって今の形になったといわれています。韓国、中国、日本はともに、しょうゆとみそを味つけに使います。しかし、その味や成分はそれぞれ違うのです。中国と日本の醤は大豆に他のでんぷんを混ぜて作りますが、韓国は純粋に大豆だけを原料とするのが特徴です。韓国の醤はでんぷんから出る甘味がないかわりに、煮込めば煮込むほど味わいが深まります。
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